河原町団地とその中の日常

頻繁に旅に出ている僕ですがそんな自分の中での”旅”の定義はそこに非日常がある事だ。非日常な体感を外で味わえて行く過程を楽しめれば行先がどこであっても、遠かろうがあまりに近かろうが問題にはならない。例え自転車で30分でいけるところであろうがそれが非日常的な空間で体験が出来ればそれは旅と同じ価値だ。つまるところ電車に乗って数百円で行けるところにも旅先はたくさんある。

 

団地の魅力

以前に全国の団地を調べまくっていた時期があった。昔ながらの団地は無機質で統一感があるものが多いイメージだが場所によっては奇抜で斬新なデザインの建物もあった。そのコンクリート造りの威圧感は独特で現代のデザイナーズマンションとは一味違う印象があり面白かった。

その中でも印象の強かった川崎の河原町団地に行った時の話だ。

 

やってきたのは川崎駅。都内へのアクセスも良いベッドタウンだ。

 

川崎駅のマップにも河原町団地は載っている。かなり広い敷地みたいで地図からもマンモス団地である事がわかる。川崎駅から歩いてみた。

 

川崎駅北口に出たら多摩川へ向かう。まっすぐ歩きその後Tの字の交差点で左に曲がりしばらく進む。

 

 

しばらく進んだら左手に見えてくる。ここが河原町団地。正直入り口はそんなにインパクト無いので気を抜いていたら通り過ぎてしまうかも。ちょうど祭りの時期だったようで提灯がぶらさがっている。

 

とにかく迫力、説得力

やはりこの無機質で統一感のある感じが団地のイメージだ。コンクリートに塗装。レンガや木材は皆無だ。棟の方へ近づいていった。

まず最初に衝撃的だったのがこの棟の側面。車のサイズからわかるようにこの団地とにかくデカい。形だけでなく大きさも古代の神殿とか彷彿させる。台形型のシンメトリーなフォルムがカッコいい。ここからテンションがあがってゆく…!

軍艦島のX階段を思い出した。

 

内側もかなり開放的な仕様。住民大集会でも行われるような広場。こんな棟がいくつも並んでいるのが驚きだ。内壁の斜面や光が採り入れられた天井といいどこか神聖な空間の様な印象がある。

団地の子どもが集まっている。こんなところでも地元の子どもからしたら遊び場だ。

 

上から差し込む光が積み上げられたモザイクのようなデザインを引き立てる。

 

広場から上を見上げた。空が高く見える。

 

外側も面白い。イタリアの世界遺産でありそうな独特な民族住居っぽく見える。統一感のある切り欠きのバルコニーからそれぞれの生活が見える。8bitゲームのようなブロックの無機質な立体感がたまらん。

 

各バルコニーについているはしごがファミコンのエレベーターゲームやドンキーコングみたいな登ったり下ったりするゲームっぽい。見ていて想像力が尽きない。

 

一番奥にある9号棟は他には無いデザインで、この棟だけやたら現代っぽい。他とは明らかに違う。後から建てられたのかな?最上階は素敵なバルコニーがついていて家賃高そう。

 

9号棟の内側はスーパーやお店があり賑わっている。9号棟に集まるお店が河原町団地の生活インフラになっている模様。

 

自分にとっての非日常は誰かにとっての日常

ブログの最初に旅の定義は非日常だと言った。
いつだって旅は日常では味わえない刺激を与えてくれる。そしてそんな刺激的な場所が日常的な存在になっている人たちもいる。世の中には世界遺産となっている住居に住んでいる人だっている。その人には自身の生活をベースとした世界観がある。

 

おばあさんが講演でハトにエサやり。大きな団地の中での何気ない日常。

 

河原町団地を見たら人それぞれに日常があって、そこに無いものが非日常になる事を改めて感じた。

日本は緯度の方向に縦長くて住む地域によって寒暖差が大きい。さらに四季折々がある。地域によってその土地や気候にあった日常がある。こんな多様な生活が点在する島国は他にはないだろう。

次はどんな非日常に触れに行こう。そんな事を考えながら河原町団地を後にした。