今まで行った旅先でもう一度行きたいところは?と聞かれたら
最初に答えるのは屋久島だ。
それは日常では見る事の出来ないとてつもない生命力やエネルギーを感じ取ってそれが脳裏に焼き付いているからだ。スピリチュアルな事を言っているのかもしれないが屋久島に来てここまで説得力のある景色が日本のどこにあるだろうかと思う。
貧乏ルートで屋久島まで
行ったのは5年ほど前。当時は旅仲間が何人かいて1人旅ではなくいっしょに旅することがあった。(もう全員結婚して僕だけ人生1人旅中…笑)
その時はまだ大阪に住んでいたんだけど大阪はLCCでPEACHがかなりの幅を利かせていて、身体を酷使して無理してでも安くで旅したいという若者が使いまくっていた。
この時は関西空港で野宿して朝6時頃の飛行機に乗ってまずは鹿児島空港へ行った。確か片道3、4,000円で行けたと思う。それに野宿とかこういう事が出来るのも旅ならではで楽しい。無理していくっていうよりこの過程も楽しんでいる感じだ。ちなみに関西空港は毛布貸し出しあり。
鹿児島から屋久島まではルートは3つ。飛行機で屋久島空港に行くか鹿児島港から高速船で3時間程の船旅。もしくはタンカーのようなフェリーで物資と共に一晩かけて輸送されるかのいずれかだ。当然一番安いタンカーに乗船した。
中はこんな感じのところで一夜を越す。修学旅行感あるしこういうのもまた楽しい。隣で寝ていたおっさんのいびきがかなりうるさかった記憶がある。。が、この雑な船舶がなかなかレアで楽しかった。安いルートを選んでもなおさら非日常な事が体験出来て旅の付加価値になる事もあるからしんどそうってだけで選択肢をなくすのももったいないなと思う。
屋久島はずっと雨
屋久島についた時はよどんだ天気が迎えてくれた。屋久島は月のうち35日が雨という事を言われるが滞在中も太陽を見る事はほとんど無かった。
清々しい…とは決して言えないけど常にこんな空気だからこそ屋久島に来たって感じがするのかも。
時間によって変わる景色とディズニー映画ばりのモンスターツリーたち
屋久島といえば登山。そして屋久杉の深い森。
屋久杉にも定義がある。標高600m以上で樹齢1000年以上の杉を屋久杉という。1000歳になったらやっと屋久杉の称号をもらえるとてつもなく長い人生だ。
なぜこんなに長生きできるかというと屋久島特有の湿度に耐えうるよう樹脂表面に油分をまとい台風に負けないように根も幹も太く強くなっていきその土地に順応するように進化していったからだという。そんな無敵状態のモンスターツリーが自由に生えまくっている森の中を1日歩いた時の徐々に明るくなって視界が広がっていく光景が忘れられない。
山登りの朝は早い。縄文杉トレッキングは3時起きで4時にバスに乗り5時にスタンバイ、登山開始という流れ。往復10時間かかる登山なので暗くなる前に帰る為に暗い時から歩くというなんとも時間間隔がマヒしそうな登山スタート。
最初はヘッドライトがなければ歩けない。本当に真っ暗だったが
徐々に見えてきたのは廃線道。旅人がいかにも好きそうなシチュエーション。
木ていうか家!?て思うぐらいデカい。これが生き物なのか。
木の内側。
個性的な木ばかりでそれぞれが好き勝手に生きて主張している。
登山者は登山弁当という普通の弁当をもって山に入り頃合いを見て食べるが、この弁当うますぎる。完全につめたい普通の弁当だけど本当にうますぎる。
ちなみに登山弁当は基本的に事前予約性のところが多い。前もって予約しておく事をオススメする。
ゴール地点は縄文杉。もう散々モンスターツリーばかり見てきたがやはりさすがの貫禄。縄文杉、定かではないが推定樹齢7200年らしい。そんな生き物があっていいのか??答えを知っているのは縄文杉だけだ。。。
長い時間ゆっくり培った屋久杉の成長にはそれぞれのドラマがある。天高く直立した屋久杉もあれば複雑にいりくんだ形状や複数の杉で絡み合って共に生きているものもあった。みな個性的だ。成長途中で残念ながら折れてしまった杉もたくさんあったが、折れた杉に新しい杉が着生したり他の杉が絡み合ったり命を失ってもなおドラマが続いていた。
白谷雲水峡
上で記載した縄文杉コースとは別で同じく人気のコースが白谷雲水峡だ。同じ屋久島の登山でもこんなに景色が違うものかと思わされる。
往復で約5時間のコース。もののけ姫の森と言われているコケだらけのゾーンが終盤あたりに出てくるがその後の急こう配の道がなかなかつらい。でもゴール地点の太鼓岩からの屋久島の絶景はすごい。これは縄文杉を越える達成感だと思う。こちらもぜひ体験してみてほしい。
ルートをすすむにつれて濃く深くなっていく緑が印象的。
切られた1代目の杉の切り株に新しい杉が着生して成長した屋久杉だ。
ゴール地点の太鼓岩。いきなり森の中から視野が広がった時は最高の解放感。実際こんなに登ってきたのかと驚いた。
ちなみにこの太鼓岩、ところどころ叩いたら中が空洞の様な響く音がする。ぜひ叩いてみてほしい。
登山セットは必須
ザックやレインウェアー、登山靴は島の至る所にあるレンタルショップで貸し出ししている。レインウェアーと登山靴は屋久島の登山では必須だ。登山中に必ず何度か雨が降ってくると思っておいた方がいいし靴も登山用の靴を使うべきだ。
白谷雲水峡の登山中にニンテンドーDSをしながらサンダルであがっていく外国人の子どもを見たけど、なめているとしか思えないし(親も含めて)あとどのくらい登ったらこの子どもはぐずりだすんだろうかと思った。
屋久島は日本中の木々をまるっと楽しめる
屋久島が世界的に価値をもたれている理由の1つとして南野島でありながら標高1,000mの連山があり海岸から山頂にかけて標高があがるごとに亜熱帯から亜寒帯までの植物がまるっと見る事ができる。
つまり海岸沿いでは南の島らしいガジュマルがあるのに対して山を登っていくとともに日本列島を縦断する感覚で色々な植物に出会い宮之浦岳の頂上付近では北海道にある植物も拝むことができる。
立地や標高の条件で起こった事で世界的にも大変価値がある。
音楽好き必見のすぐに屋久島の凄さがわかる映像
トラックメイカーのYosi Horikawaさんが屋久島にフィールドレコーディングをしに行くドキュメンタリー映画があった。映像の中で縄文杉を見て「最初に感じたのは恐怖だった」と言われていた表現が独特だがとても納得できる。
そんなYosi Horikawaさんのドキュメンタリーの一部がコチラ
曲も映像も大好きなのでぜひ見てほしい。屋久島の大地の深さや木々の尊さがすごく伝わる。
屋久島はどこよりも生命という言葉に説得力をもった島だった。
みんなそこにあり続けながら生きた証を証明しようとしている。
まるで人間のように自分の存在意義は何なのか考えて認めてほしい欲求をかかえてそれを果たすことを使命感のように生きる。屋久島の個性ある木々は生きる上で複雑にたくましく生きる人間模様を表しているようにも感じた。
僕らは何気なく毎日生きている。そしてその日々を刻む事は尊い。
生命は素晴らしい。
屋久島に来た人の漠然言うと「すごかった」という感想の裏側にはどこかそんな印象をもっているかもしれない。。。